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セピア色の、はじまりの日。
2008年7月20日。
俺が初めて孝介に対する気持ちを認識した日だ。
2009年5月30日。
少なくとも、最後にこのブログの記事を書いた、この日には、
想像の及ばなかった世界に、いま自分はたどり着いている。
サブローと付き合ってから、もうすぐ二ヵ月だ。
いままで付き合ってもロクに長続きしなかった自分。
でも、いまでは「あれ、もう二ヵ月か。」なんて思っている。
半年は意識せずに過ごせそうだ。
サブローが愛しくてたまらない今日。
大きなケンカもしたし、いざこざもあった。
「付き合ってるんだし、対等でいたい。主従関係はやめたい。」
と言われたときは、ガガーンとも思ったけど、
なんだかんだ、お互いとても深く愛し合っている。
こんなことを書いている自分がすごく不思議だ。
あれだけ好きだった孝介のことが、割とどうでもよくなった自分がいる。
ここに到達するまでに、長い時間を要するだろうと思っていたけど、
サブローの支えによって、自分はようやく長い苦しみから解放された。
孝介のことを好きになった、2008年の7月20日から、一年が経過した。
サブローがいなかったら、俺は押しつぶされていたに違いない。
付き合い始めは、孝介に不等号の大なりが向いていた。
「孝介>サブロー」 が 「孝介=サブロー」 になり
「孝介<サブロー」 になって 「サブロー」 になった。
いつしか、孝介は、そうして比べる対象でもなくなった。
あいつは最近わんさか友達を作って暇なしだ。
その予定に俺はほとんど入っていない。
週一回のペースで会っていた去年を思うと、少しさみしくなる気もするけど、
あの苦しみから解放されたことが嬉しくてたまらないというのが、いまの心境。
俺にはサブローがいる。それが、一番の幸せだ。
孝介と付き合っても、未来はなかった。
でも、サブローと付き合っている今は、未来がある。
この想いを、必ずあいつに届けてやりたい、と思っている。
俺が初めて孝介に対する気持ちを認識した日だ。
2009年5月30日。
少なくとも、最後にこのブログの記事を書いた、この日には、
想像の及ばなかった世界に、いま自分はたどり着いている。
サブローと付き合ってから、もうすぐ二ヵ月だ。
いままで付き合ってもロクに長続きしなかった自分。
でも、いまでは「あれ、もう二ヵ月か。」なんて思っている。
半年は意識せずに過ごせそうだ。
サブローが愛しくてたまらない今日。
大きなケンカもしたし、いざこざもあった。
「付き合ってるんだし、対等でいたい。主従関係はやめたい。」
と言われたときは、ガガーンとも思ったけど、
なんだかんだ、お互いとても深く愛し合っている。
こんなことを書いている自分がすごく不思議だ。
あれだけ好きだった孝介のことが、割とどうでもよくなった自分がいる。
ここに到達するまでに、長い時間を要するだろうと思っていたけど、
サブローの支えによって、自分はようやく長い苦しみから解放された。
孝介のことを好きになった、2008年の7月20日から、一年が経過した。
サブローがいなかったら、俺は押しつぶされていたに違いない。
付き合い始めは、孝介に不等号の大なりが向いていた。
「孝介>サブロー」 が 「孝介=サブロー」 になり
「孝介<サブロー」 になって 「サブロー」 になった。
いつしか、孝介は、そうして比べる対象でもなくなった。
あいつは最近わんさか友達を作って暇なしだ。
その予定に俺はほとんど入っていない。
週一回のペースで会っていた去年を思うと、少しさみしくなる気もするけど、
あの苦しみから解放されたことが嬉しくてたまらないというのが、いまの心境。
俺にはサブローがいる。それが、一番の幸せだ。
孝介と付き合っても、未来はなかった。
でも、サブローと付き合っている今は、未来がある。
この想いを、必ずあいつに届けてやりたい、と思っている。
御主人様×ペット=恋人!
サブローと、こういった関係になってからも、紆余曲折ありましたが、
落ち着くところに落ち着いたというか、ちゃんと付き合うことになりました。
やっぱり俺は、まだ孝介が心のあちこちに残っていて、
簡単にサブローを本気で愛しているとは言えないけど、
「もしかしたら、寂しさを紛らわすために…?」
とか
「勢いだけで、後から目が覚めるんじゃ…?」
とか
相変わらずの自己疑心暗鬼っぷりでしたが、
それらも一通りクリアしまして、いまの状況にあります。
「孝介に会ったら、また想いが再発してしまうのでは…。」
という不安は、俺もサブローも持っていたんですが、
その心配もなく、まあ、そりゃまあ、まだ好きだけど。
でも、これでよかったんだろうなと思えたから、いい。
ブログをどうしようか、ちょっと悩んでいます。
孝介との思い出は、このまま残しておきたいから、
引き続きこのブログに書く気にはちょっとなれない。
かといって、サブローとのことはブログに書くこともなくて、
ブログ自体そろそろやめる時期かなーとも思っています。
そうそう、長く続いた純愛ストーリー系から、
いきなりSM系に突入してしまいましたが(笑)
日常生活では、いままでと変わらず大地とサブローなので、
御主人様とペットの関係というわけではありません…(笑)
問題はまだありそうだけど、とりあえずいまは、幸せにやってます。少しだけ。
落ち着くところに落ち着いたというか、ちゃんと付き合うことになりました。
やっぱり俺は、まだ孝介が心のあちこちに残っていて、
簡単にサブローを本気で愛しているとは言えないけど、
「もしかしたら、寂しさを紛らわすために…?」
とか
「勢いだけで、後から目が覚めるんじゃ…?」
とか
相変わらずの自己疑心暗鬼っぷりでしたが、
それらも一通りクリアしまして、いまの状況にあります。
「孝介に会ったら、また想いが再発してしまうのでは…。」
という不安は、俺もサブローも持っていたんですが、
その心配もなく、まあ、そりゃまあ、まだ好きだけど。
でも、これでよかったんだろうなと思えたから、いい。
ブログをどうしようか、ちょっと悩んでいます。
孝介との思い出は、このまま残しておきたいから、
引き続きこのブログに書く気にはちょっとなれない。
かといって、サブローとのことはブログに書くこともなくて、
ブログ自体そろそろやめる時期かなーとも思っています。
そうそう、長く続いた純愛ストーリー系から、
いきなりSM系に突入してしまいましたが(笑)
日常生活では、いままでと変わらず大地とサブローなので、
御主人様とペットの関係というわけではありません…(笑)
問題はまだありそうだけど、とりあえずいまは、幸せにやってます。少しだけ。
泣かないで、御主人様。【下】
孝介への想いの糸が切れるキッカケとなった、
サブローと孝介がヤってしまった事実を聞いたのは、
俺らのセックスが終わって、ピロートークをしているときだった。
前々から、どうしても引っかかっていることがあって、
ためらうサブローを突っついて出てきたのが、その事件だった。
サブローは、直後に、言ったことを後悔して泣き出し、
俺は、サブローの前で泣いてはいけないと思って、
始発もまだ動いていなかったが、すぐに部屋を後にした。
『自分、もう大地さんに会わないほうがいいですか?』
しばらくして、サブローからメールがきた。
「俺は会わないつもりはないし、サブローに対して怒ってもないよ。」
それは、事実だった。
『でも、大地さん泣いてたじゃないですか…。』
泣いていたのは、孝介のせいだった。
サブローとは何もないから、と、言われていた。
孝介に、裏切られたと思っていた。
次に会ったときに、責めてやろうと企んでた。
いかにして孝介に裏切られたか、
サブローに懇切丁寧に説明していたら、
なんだか腑に落ちないような様子で、切り返された。
『こんなこと言って、気分を害されたら申し訳ないんですけど…。
大地さんは孝介さんに恋愛の自由を許してなかったんですか?』
たしかに、そうなんだよな。そう考えると。
「怒ってるんじゃなくて、呆れてるんだよ。」という言葉にも、
『呆れてるぐらいなら、まだ好きなんですよ、きっと。』
と、的確に返されてしまい。
恋愛レベルは俺のほうが確実に上だと思っていたのに、
案外、サブローは大人の考えを持っているのかもしれないな。
そうかと思ってみれば、
「本当は、大地さんと孝介さんが不仲になってくれて、嬉しいです。」
なんて酔った勢いで言ってしまったりして、
やっぱり、年下として可愛いとこもあるよなあと。
「自分がもっと汚いと思うところは、、、」
「ん、なに。」
「孝介さんとシてしまったあと、ちょっと孝介さんのこと好きになりかけちゃったんですよ。」
「…………。」
「大地さんがいるのに、裏切ってしまった感じで、すみません。」
「……いや、謝ることじゃねーし。。。」
とは言ったものの。
なんだか、すごく、イライラした。
「大地さん、憎んでますよね。僕のこと。」
サブローの酔いがまわってきたのもあって、眠ることにした。
飲酒量を考えると、サブローは今夜の記憶がほぼなくなるだろうし、
早く寝ろよと言っても、まだ話し足りないのか、ずっと話しかけてきていた。
「憎んでないっつーの。」
「うそ。うそですよね。本当は憎んでるんですよね。」
このやろう……。
「……憎んでるよ。」
「やっぱり、憎んでるんじゃないですか。」
「…憎いよ。なんで孝介を一瞬でも好きになってんだよ。お前は俺が好きなんだろ!」
もう、なにがなんだか、わけもわかっていなかった。
「なんっなんだよっ!お前は俺だけを好きでいればいいんだよ!!」
思わず、手を出しそうになった。
けど、耐えた。間違っている。
こんなの、支配欲の歪みでしかない。
「俺のそばにいてくれよ、サブロー…。」
「や、やめてください、そんな心にもないこと言わないでください。」
「頼むよ、サブロー。いまお前に求められなかったら、俺は壊れてしまいそうだよ…。」
そっと抱きしめようとしているのに、なぜかサブローは拒否をした。
「いっ、いやだ!どうせ、どうせ、まだ孝介さんのことが好きなくせに!」
「孝介のことは、もういいっつってんだろ!」
きつく抱きしめて落ち着かせようとしても、
サブローは暴れるのをやめなかった。
「どうせ、僕のことなんて、好きでもないくせに!!」
俺の腕をふりほどいて、
ベッドから転げるように降りて、
玄関のほうに駆けだしていく。
「おい、待てよサブロー!!」
そう叫びながらも、追いかける気力がなくて、ベッドにふさぎこんだ。
(くそっ…。)
俺は何がしたいんだ。
サブローのこと苦しめてるだけじゃねーか…。
でも、悔しかった。いやだった。あいつが孝介を…。
すぐに、玄関のほうから乾いた音が聞こえてきて、
何事かと思った俺も、慌てて、薄暗い玄関に駆け込んだ。
壁にもたれて座っていたサブローが、自分で自分を殴っていた。
「なに自分で殴ってんだよ!」
「ほっといて下さい!」
「お前を殴っていいのは俺だけだろ!!」
両腕をつかんで壁に押し付けても、それでも抵抗をやめない。
「やだ、やだよ、どうせまた孝介さんとこに戻っていくんだ、どうせ!!」
「うるせえ!!!」
そう叫んで、いままでで一番、思い切り、頬を叩いた。
急に静寂が訪れて、サブローが、潤んだ目で、俺を見つめてくる。
「お前は、俺の寂しさを紛らせるために、いいように使われてりゃいいんだよ!!!」
怒りにまかせて吐いた
この言葉を聞いたサブローは
いままで見た中でも
一番最高の
至福に満ちた
泣き顔をしていた。
「…来いよ、サブロー。この前、誓ったろ。俺のペットなんだろ?隣で寝ろよ。それが命令だ。」
「…………はい、御主人様。。。」
もう、すっかり昔の自分たちからは遠ざかっていた。
このまま狂気の世界に堕落していってもいいけど、
俺にはサブローを包み込むだけの器が確実に足りない。
「お前は、俺の支配欲に付いていけないよ。」
隣で寝るサブローに背を向けたまま、そう言った。
もうさすがに寝たかと思ったが、サブローが、背を向けた俺を後ろから抱きしめてきた。
「…付いていきます。いつまでも、服従します。だから、そばに居させてください。」
「サブロー……。」
振り返って、そっと抱きしめ返した。
すまない。本当は、俺も…。
翌朝のサブローは、やっぱり昨夜の記憶が飛んでいて、
起きぬけに、すぐじゃれてきたあいつを見て「えええ!!」と思ったけど、
「覚えてねーのかよ!」と問い詰めたら、一部が頑張って思い出せる程度らしく。
「そういえば!いいように使われてればいいんだよ、とか言ってませんでした!?」
「え、え、あ、あ…あ、うん。まあ。」
シラフで、しかも夜のセリフを朝に言われるのは、すごく恥ずかしい。
が、しかし
「あれって、プロポーズの言葉だったんですか?」
と、少し照れながら聞いてきたサブローを見て、
ああ、やっぱこいつ改めてすごいな、と、しみじみ思った。
そんな、御主人様とペットの関係が、この日、改めて始まった。
俺の心が固まるまでは、答えは出せないけれど。
サブローと孝介がヤってしまった事実を聞いたのは、
俺らのセックスが終わって、ピロートークをしているときだった。
前々から、どうしても引っかかっていることがあって、
ためらうサブローを突っついて出てきたのが、その事件だった。
サブローは、直後に、言ったことを後悔して泣き出し、
俺は、サブローの前で泣いてはいけないと思って、
始発もまだ動いていなかったが、すぐに部屋を後にした。
『自分、もう大地さんに会わないほうがいいですか?』
しばらくして、サブローからメールがきた。
「俺は会わないつもりはないし、サブローに対して怒ってもないよ。」
それは、事実だった。
『でも、大地さん泣いてたじゃないですか…。』
泣いていたのは、孝介のせいだった。
サブローとは何もないから、と、言われていた。
孝介に、裏切られたと思っていた。
次に会ったときに、責めてやろうと企んでた。
いかにして孝介に裏切られたか、
サブローに懇切丁寧に説明していたら、
なんだか腑に落ちないような様子で、切り返された。
『こんなこと言って、気分を害されたら申し訳ないんですけど…。
大地さんは孝介さんに恋愛の自由を許してなかったんですか?』
たしかに、そうなんだよな。そう考えると。
「怒ってるんじゃなくて、呆れてるんだよ。」という言葉にも、
『呆れてるぐらいなら、まだ好きなんですよ、きっと。』
と、的確に返されてしまい。
恋愛レベルは俺のほうが確実に上だと思っていたのに、
案外、サブローは大人の考えを持っているのかもしれないな。
そうかと思ってみれば、
「本当は、大地さんと孝介さんが不仲になってくれて、嬉しいです。」
なんて酔った勢いで言ってしまったりして、
やっぱり、年下として可愛いとこもあるよなあと。
「自分がもっと汚いと思うところは、、、」
「ん、なに。」
「孝介さんとシてしまったあと、ちょっと孝介さんのこと好きになりかけちゃったんですよ。」
「…………。」
「大地さんがいるのに、裏切ってしまった感じで、すみません。」
「……いや、謝ることじゃねーし。。。」
とは言ったものの。
なんだか、すごく、イライラした。
「大地さん、憎んでますよね。僕のこと。」
サブローの酔いがまわってきたのもあって、眠ることにした。
飲酒量を考えると、サブローは今夜の記憶がほぼなくなるだろうし、
早く寝ろよと言っても、まだ話し足りないのか、ずっと話しかけてきていた。
「憎んでないっつーの。」
「うそ。うそですよね。本当は憎んでるんですよね。」
このやろう……。
「……憎んでるよ。」
「やっぱり、憎んでるんじゃないですか。」
「…憎いよ。なんで孝介を一瞬でも好きになってんだよ。お前は俺が好きなんだろ!」
もう、なにがなんだか、わけもわかっていなかった。
「なんっなんだよっ!お前は俺だけを好きでいればいいんだよ!!」
思わず、手を出しそうになった。
けど、耐えた。間違っている。
こんなの、支配欲の歪みでしかない。
「俺のそばにいてくれよ、サブロー…。」
「や、やめてください、そんな心にもないこと言わないでください。」
「頼むよ、サブロー。いまお前に求められなかったら、俺は壊れてしまいそうだよ…。」
そっと抱きしめようとしているのに、なぜかサブローは拒否をした。
「いっ、いやだ!どうせ、どうせ、まだ孝介さんのことが好きなくせに!」
「孝介のことは、もういいっつってんだろ!」
きつく抱きしめて落ち着かせようとしても、
サブローは暴れるのをやめなかった。
「どうせ、僕のことなんて、好きでもないくせに!!」
俺の腕をふりほどいて、
ベッドから転げるように降りて、
玄関のほうに駆けだしていく。
「おい、待てよサブロー!!」
そう叫びながらも、追いかける気力がなくて、ベッドにふさぎこんだ。
(くそっ…。)
俺は何がしたいんだ。
サブローのこと苦しめてるだけじゃねーか…。
でも、悔しかった。いやだった。あいつが孝介を…。
すぐに、玄関のほうから乾いた音が聞こえてきて、
何事かと思った俺も、慌てて、薄暗い玄関に駆け込んだ。
壁にもたれて座っていたサブローが、自分で自分を殴っていた。
「なに自分で殴ってんだよ!」
「ほっといて下さい!」
「お前を殴っていいのは俺だけだろ!!」
両腕をつかんで壁に押し付けても、それでも抵抗をやめない。
「やだ、やだよ、どうせまた孝介さんとこに戻っていくんだ、どうせ!!」
「うるせえ!!!」
そう叫んで、いままでで一番、思い切り、頬を叩いた。
急に静寂が訪れて、サブローが、潤んだ目で、俺を見つめてくる。
「お前は、俺の寂しさを紛らせるために、いいように使われてりゃいいんだよ!!!」
怒りにまかせて吐いた
この言葉を聞いたサブローは
いままで見た中でも
一番最高の
至福に満ちた
泣き顔をしていた。
「…来いよ、サブロー。この前、誓ったろ。俺のペットなんだろ?隣で寝ろよ。それが命令だ。」
「…………はい、御主人様。。。」
もう、すっかり昔の自分たちからは遠ざかっていた。
このまま狂気の世界に堕落していってもいいけど、
俺にはサブローを包み込むだけの器が確実に足りない。
「お前は、俺の支配欲に付いていけないよ。」
隣で寝るサブローに背を向けたまま、そう言った。
もうさすがに寝たかと思ったが、サブローが、背を向けた俺を後ろから抱きしめてきた。
「…付いていきます。いつまでも、服従します。だから、そばに居させてください。」
「サブロー……。」
振り返って、そっと抱きしめ返した。
すまない。本当は、俺も…。
翌朝のサブローは、やっぱり昨夜の記憶が飛んでいて、
起きぬけに、すぐじゃれてきたあいつを見て「えええ!!」と思ったけど、
「覚えてねーのかよ!」と問い詰めたら、一部が頑張って思い出せる程度らしく。
「そういえば!いいように使われてればいいんだよ、とか言ってませんでした!?」
「え、え、あ、あ…あ、うん。まあ。」
シラフで、しかも夜のセリフを朝に言われるのは、すごく恥ずかしい。
が、しかし
「あれって、プロポーズの言葉だったんですか?」
と、少し照れながら聞いてきたサブローを見て、
ああ、やっぱこいつ改めてすごいな、と、しみじみ思った。
そんな、御主人様とペットの関係が、この日、改めて始まった。
俺の心が固まるまでは、答えは出せないけれど。
泣かないで、御主人様。【中】
恋愛対象どころか、性欲の対象にもならなかったようなサブローが、
いつしか違った目で見られるようになったのは、いつからだっただろうか。
『孝介とサブローの溝』事件を境に、かもしれない。
あれから、孝介を失ったサブローが、俺を専属で頼るようになり、
孝介のことを話せるようになった俺も、サブローに話を聞いてもらっていた。
時には居酒屋で、俺のネガティブに付き合ってもらったり、
筋トレマニアのサブローに、トレーニングルームで指導してもらったり。
石垣島以来、孝介のことを終わらせたいと切に願っていた自分にとって、
気を紛らわせてくれるサブローのことが、とても大切な存在になっていた。
「孝介さんと、また上手くいくようになったら、自分とも会ってくれなくなるんですよね…。」
あの過ちから数日経って、どちらもそれに触れることはなく、
「でも、いいんです。大地さんが幸せなら、それで嬉しいですから。」
二人とも居酒屋でたらふくのんで、サブローの家のベッドに寝ているときだった。
「元通りになれるといいですね、孝介さんと。」
俺は相変わらず睡魔に勝てずに、横になっていて、
「孝介さん羨ましいな…、大地さんから、こんなに愛されてて。」
寝ていると思ったのか、サブローが一人で俺に話しかけていた。
「なんで、もっと早く、大地さんと知り合えなかったのかな…悔しいよ…。」
俺とおんなじようなこと考えてんだな…こいつ。
「サブロー、おいで。」
俺の横にぴったりとくっついていたサブローを、抱き寄せた。
「大地さん……。」
起きているのを知っていたのか、また寝ぼけてると思っているのか、
特に驚くことも抵抗することもなく、おとなしく俺の胸の中に入ってくる。
「大地さん…。僕、我慢できなくなっちゃいます……。」
「ヤっちまうか〜、サブロー。」
自分でも、何を思ってこう言ったのか、よくわからない。
「またそんなこと言って。本気でレイプしますよw」
「できるもんなら、してみー。」
「言っときますけど、大地さん、力では自分に敵いませんからねw」
「精神面では、負けねーかんな。」
「ほらまた、そういう…」
「ヤっちまうか。なあ?」
その一言で、突撃、とでも言わんばかりに、
サブローが上に乗ってきて、キスをしてきた。
とても幼い、勢いだけの、口づけ。
「やっぱり、だめです。やめましょう。大地さんを後悔させたくない…。」
そうかと思えば、急にヘタれて、そんなことを言って、離れていく。
「……うるせーな。」
冷たくそう言い放つと、サブローがビクッとした。
その隙に、今度は俺が上に乗っかって、言った。
「お前に選ぶ権利は、ねーんだよ。」
もちろん、わかって、言っている。
サブローの夢は、『人権譲渡』という、凄まじいドMだ。
あなたにすべてを支配されたい。まったく見上げた性癖だよ。
それに対して俺は、独占欲も、支配欲も、嫉妬心も強い。
一歩間違えれば……いや、わかっていた。
だからあえて、いままで顕在させてこなかった。
一般人よりもM寄りな孝介とのセックスのときだって、しなかった。
けれど、このときは、自分をさらけ出すことに躊躇いがなかった。
自信があったのかもしれない。俺たちの性質が合致していることに。
そして、こいつと今後も……。
案の定、その言葉を吐き捨てた瞬間、サブローのスイッチが入ったのがわかった。
「大地さん、殴って。僕を殴って……。」
ピクッ、っと、今度は自分の動きが止まった。
初っ端から、そんな懇願しちゃうのかよ。
やれる。問題なく、やれる。
しかし、赴くままにしていいのだろうか。
このまま二人で堕ちていくかもしれない。
「…あうっ!!」
乾いた音が部屋に響き渡った。
人を殴ったのは、人生で何度目だろうか。
前回どころか、経験があるのかも定かではない。
やはり、このまま進むのは…
いいものではない、ような気が。。。
「も、もっと…もっと殴って…。」
「……………。」
もし、その場に鏡があれば、心から不敵に微笑んでいる自分が映っていたに違いない。
「…違うだろ。」
「え、どういう…ん、むぐっ!!」
聞き返そうとしたサブローの口を、力づくで押さえつけた。
ベッドに押し付けられているサブローにゆっくり迫って、
震えている耳元で、静かに、そして冷酷に、そっと囁く。
「それが、人にお願いをする態度か?」
ゾクゾクとサブローの中で何かが這い上がっているのを感じた。
さすが体育会。いや、生粋のMだからか?
こういうことに対する物分かりは、いいみたいだ。
起き上がって手を離してやったら、うるんだ瞳で、言った。
「殴って下さい、お願いします、もっと、もっと……。」
いままで顕在させることのなかった、この性質が、俺を満たしていく。
この猟奇的なセックスに、いまは身を委ねてしまおう。
俺は、再び右手を振りおろした。
【続く】
いつしか違った目で見られるようになったのは、いつからだっただろうか。
『孝介とサブローの溝』事件を境に、かもしれない。
あれから、孝介を失ったサブローが、俺を専属で頼るようになり、
孝介のことを話せるようになった俺も、サブローに話を聞いてもらっていた。
時には居酒屋で、俺のネガティブに付き合ってもらったり、
筋トレマニアのサブローに、トレーニングルームで指導してもらったり。
石垣島以来、孝介のことを終わらせたいと切に願っていた自分にとって、
気を紛らわせてくれるサブローのことが、とても大切な存在になっていた。
「孝介さんと、また上手くいくようになったら、自分とも会ってくれなくなるんですよね…。」
あの過ちから数日経って、どちらもそれに触れることはなく、
「でも、いいんです。大地さんが幸せなら、それで嬉しいですから。」
二人とも居酒屋でたらふくのんで、サブローの家のベッドに寝ているときだった。
「元通りになれるといいですね、孝介さんと。」
俺は相変わらず睡魔に勝てずに、横になっていて、
「孝介さん羨ましいな…、大地さんから、こんなに愛されてて。」
寝ていると思ったのか、サブローが一人で俺に話しかけていた。
「なんで、もっと早く、大地さんと知り合えなかったのかな…悔しいよ…。」
俺とおんなじようなこと考えてんだな…こいつ。
「サブロー、おいで。」
俺の横にぴったりとくっついていたサブローを、抱き寄せた。
「大地さん……。」
起きているのを知っていたのか、また寝ぼけてると思っているのか、
特に驚くことも抵抗することもなく、おとなしく俺の胸の中に入ってくる。
「大地さん…。僕、我慢できなくなっちゃいます……。」
「ヤっちまうか〜、サブロー。」
自分でも、何を思ってこう言ったのか、よくわからない。
「またそんなこと言って。本気でレイプしますよw」
「できるもんなら、してみー。」
「言っときますけど、大地さん、力では自分に敵いませんからねw」
「精神面では、負けねーかんな。」
「ほらまた、そういう…」
「ヤっちまうか。なあ?」
その一言で、突撃、とでも言わんばかりに、
サブローが上に乗ってきて、キスをしてきた。
とても幼い、勢いだけの、口づけ。
「やっぱり、だめです。やめましょう。大地さんを後悔させたくない…。」
そうかと思えば、急にヘタれて、そんなことを言って、離れていく。
「……うるせーな。」
冷たくそう言い放つと、サブローがビクッとした。
その隙に、今度は俺が上に乗っかって、言った。
「お前に選ぶ権利は、ねーんだよ。」
もちろん、わかって、言っている。
サブローの夢は、『人権譲渡』という、凄まじいドMだ。
あなたにすべてを支配されたい。まったく見上げた性癖だよ。
それに対して俺は、独占欲も、支配欲も、嫉妬心も強い。
一歩間違えれば……いや、わかっていた。
だからあえて、いままで顕在させてこなかった。
一般人よりもM寄りな孝介とのセックスのときだって、しなかった。
けれど、このときは、自分をさらけ出すことに躊躇いがなかった。
自信があったのかもしれない。俺たちの性質が合致していることに。
そして、こいつと今後も……。
案の定、その言葉を吐き捨てた瞬間、サブローのスイッチが入ったのがわかった。
「大地さん、殴って。僕を殴って……。」
ピクッ、っと、今度は自分の動きが止まった。
初っ端から、そんな懇願しちゃうのかよ。
やれる。問題なく、やれる。
しかし、赴くままにしていいのだろうか。
このまま二人で堕ちていくかもしれない。
「…あうっ!!」
乾いた音が部屋に響き渡った。
人を殴ったのは、人生で何度目だろうか。
前回どころか、経験があるのかも定かではない。
やはり、このまま進むのは…
いいものではない、ような気が。。。
「も、もっと…もっと殴って…。」
「……………。」
もし、その場に鏡があれば、心から不敵に微笑んでいる自分が映っていたに違いない。
「…違うだろ。」
「え、どういう…ん、むぐっ!!」
聞き返そうとしたサブローの口を、力づくで押さえつけた。
ベッドに押し付けられているサブローにゆっくり迫って、
震えている耳元で、静かに、そして冷酷に、そっと囁く。
「それが、人にお願いをする態度か?」
ゾクゾクとサブローの中で何かが這い上がっているのを感じた。
さすが体育会。いや、生粋のMだからか?
こういうことに対する物分かりは、いいみたいだ。
起き上がって手を離してやったら、うるんだ瞳で、言った。
「殴って下さい、お願いします、もっと、もっと……。」
いままで顕在させることのなかった、この性質が、俺を満たしていく。
この猟奇的なセックスに、いまは身を委ねてしまおう。
俺は、再び右手を振りおろした。
【続く】
泣かないで、御主人様。【上】
※この編を読むと、すごく気分を悪くされるかもしれないです。
ブログを移そうかと思いましたが、あえてこのまま書きます。
俺のこと嫌いになるかも。これまでも、全部、無に帰すかもしれないけど…。
「大地さん、ごめんなさい、泣かないで…。」
ごみ箱の前でうずくまっている俺を、後ろから抱きしめてくる。
自分でも、どうして自分がこんなに泣いているのか、わからなかった。
後悔? 罪悪感? 何に対する? 誰に対する?
---------------
------------
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(あ、出そう…。)
(………。)
(ん、ん……ん!?)
夢精って、あんな感じなのかな。
したことがないから、わからないけど。
ぼんやりと戻ってきた意識の先で見たものは、
髪の毛を引っつかまれて、喉の奥まで突っ込まれて、
強制的に飲まされているサブローの驚くべき姿だった。
(え?え?え?)
異様すぎる光景に頭が混乱したけど、
髪をつかんでいるのは俺だし、突っ込んでるのも俺だし、
なにより、飲んでいるのは、俺がいま出したと思うものなんだ。
「ちょ、ちょい、サブロー!!」
俺が果てた後も、『お掃除』をしているサブローを引っぺがして、口に指を突っ込んだ。
「飲ま…せたか?俺。」
「ふぁい。(はい。)」
(なに、なんだこれ。なにしてるんだ、俺。)
とりあえずパンツをはきたくて、片足にパンツをひっかけた、みっともない姿で、
ベッドからはいずり降りて、机の上に置いてあったティッシュで処理を済ませた。
寝起きのぼんやりと、衝撃的な出来事と、
酒の抜け切れてない頭を必死に回転させて、
いま、これが、どんな状況なのか把握しようと試みた。
答えは一つだった。
『サブローとヤってしまった。』
「サブロー!!!」
その事実を認識したとたん、机からベッドに飛んでいって、
ペットボトルのお茶を飲んでいたサブローを強く抱きしめた。
「大地さん……。」
一瞬びっくりして固まったサブローが、そっと抱きしめ返してくる。
「…え!?大地さん?ちょ、ちょっと、離してください。」
何かに気づいたサブローが、俺から離れようとしたけど、
俺は、見られたくなくて、抱きしめる力を緩めることができなかった。
「どうして泣いてるんですか?大地さん…。」
上半身に何も着ていなかったサブローの素肌に、ポタポタと涙がこぼれた。
やってしまった。俺は、俺は…。
サブローの肌に鼻水を垂らすわけにいかず、
離れようとするのを諦めたサブローから離れて、
再びティッシュを取りに、ベッドから立ちあがった。
泣いては、サブローを困らせるだけだ。
必死に涙をこらえ、鼻をかんで、部屋の隅にあるごみ箱に放り投げに行った。
そのときに、自分の荷物の上に、無造作に置いてある携帯が目に入った。
(孝介……!!!)
そのまま、泣き崩れてしまった。
俺は、何にそんなショックを受けたんだろう。
-俺と孝介がしてしまった過ちを、自分自身で繰り返してしまったから?
-どうしてこんな状況に陥っているのか、わけもわかっていないから?
-ずっと取っておくつもりだった、「孝介との最後」を失ってしまったから?
「大地さん、ごめんなさい、泣かないで…。」
ベッドからサブローが降りてきて、後ろから抱きしめてくる。
「サブロー……すまない……。」
しばらく嗚咽に苦しみながら、やっと落ち着いてきたころに、消沈して謝罪をした。
「謝らないでください。自分、むしろ嬉しいです。」
「そんなことを言ったら、幸が薄くなるから言ったらだめだ!」
いままでネタで幸が薄いのなんだのと言ってきたけど、
そのときには、本当にまったく冗談でなく忠告をしたかった。
俺のようにはなってはいけない!
でも、そうさせてるのは、俺なんだ…。
大丈夫だよ、すまない。
そう声をかけて、同じくしゃがみこんでいたサブローを残して、
机のティッシュに三度目のお世話になりながら、椅子に腰かけた。
「サブローに手を出してしまうとは…。」
「違うんです、大地さん、それは…。」
「何であろうと、手を出したことには間違いないよ。」
どっちが先に仕掛けたとか、そんなことは問題じゃない。
俺は寝ボケているときは記憶が飛んでしまうからとか、
泥酔してたからとか、精神的に落ち切っていたからとか、
そんなのは言い訳にすぎなくて、事実にはかわりがない。
「ごめん。。。」
頭がハッキリしてくればしてくるほど、涙が出た。
「大地さん、寝ましょう。まだ5時ですし。」
「とても眠れそうにない…。」
そんなことを言いながらも、その言葉の先から記憶がない。
やっぱり、眠気には勝てなかったみたいだ。
翌朝、二人で目覚めた後も、お互い、夜のことに関しては何も触れなかった。
過ちを犯させてしまった、その想いだけが残ったまま。
しかし、この事件から、俺とサブローの関係は、急激に変化を遂げることになる。
【続く】
ブログを移そうかと思いましたが、あえてこのまま書きます。
俺のこと嫌いになるかも。これまでも、全部、無に帰すかもしれないけど…。
「大地さん、ごめんなさい、泣かないで…。」
ごみ箱の前でうずくまっている俺を、後ろから抱きしめてくる。
自分でも、どうして自分がこんなに泣いているのか、わからなかった。
後悔? 罪悪感? 何に対する? 誰に対する?
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(あ、出そう…。)
(………。)
(ん、ん……ん!?)
夢精って、あんな感じなのかな。
したことがないから、わからないけど。
ぼんやりと戻ってきた意識の先で見たものは、
髪の毛を引っつかまれて、喉の奥まで突っ込まれて、
強制的に飲まされているサブローの驚くべき姿だった。
(え?え?え?)
異様すぎる光景に頭が混乱したけど、
髪をつかんでいるのは俺だし、突っ込んでるのも俺だし、
なにより、飲んでいるのは、俺がいま出したと思うものなんだ。
「ちょ、ちょい、サブロー!!」
俺が果てた後も、『お掃除』をしているサブローを引っぺがして、口に指を突っ込んだ。
「飲ま…せたか?俺。」
「ふぁい。(はい。)」
(なに、なんだこれ。なにしてるんだ、俺。)
とりあえずパンツをはきたくて、片足にパンツをひっかけた、みっともない姿で、
ベッドからはいずり降りて、机の上に置いてあったティッシュで処理を済ませた。
寝起きのぼんやりと、衝撃的な出来事と、
酒の抜け切れてない頭を必死に回転させて、
いま、これが、どんな状況なのか把握しようと試みた。
答えは一つだった。
『サブローとヤってしまった。』
「サブロー!!!」
その事実を認識したとたん、机からベッドに飛んでいって、
ペットボトルのお茶を飲んでいたサブローを強く抱きしめた。
「大地さん……。」
一瞬びっくりして固まったサブローが、そっと抱きしめ返してくる。
「…え!?大地さん?ちょ、ちょっと、離してください。」
何かに気づいたサブローが、俺から離れようとしたけど、
俺は、見られたくなくて、抱きしめる力を緩めることができなかった。
「どうして泣いてるんですか?大地さん…。」
上半身に何も着ていなかったサブローの素肌に、ポタポタと涙がこぼれた。
やってしまった。俺は、俺は…。
サブローの肌に鼻水を垂らすわけにいかず、
離れようとするのを諦めたサブローから離れて、
再びティッシュを取りに、ベッドから立ちあがった。
泣いては、サブローを困らせるだけだ。
必死に涙をこらえ、鼻をかんで、部屋の隅にあるごみ箱に放り投げに行った。
そのときに、自分の荷物の上に、無造作に置いてある携帯が目に入った。
(孝介……!!!)
そのまま、泣き崩れてしまった。
俺は、何にそんなショックを受けたんだろう。
-俺と孝介がしてしまった過ちを、自分自身で繰り返してしまったから?
-どうしてこんな状況に陥っているのか、わけもわかっていないから?
-ずっと取っておくつもりだった、「孝介との最後」を失ってしまったから?
「大地さん、ごめんなさい、泣かないで…。」
ベッドからサブローが降りてきて、後ろから抱きしめてくる。
「サブロー……すまない……。」
しばらく嗚咽に苦しみながら、やっと落ち着いてきたころに、消沈して謝罪をした。
「謝らないでください。自分、むしろ嬉しいです。」
「そんなことを言ったら、幸が薄くなるから言ったらだめだ!」
いままでネタで幸が薄いのなんだのと言ってきたけど、
そのときには、本当にまったく冗談でなく忠告をしたかった。
俺のようにはなってはいけない!
でも、そうさせてるのは、俺なんだ…。
大丈夫だよ、すまない。
そう声をかけて、同じくしゃがみこんでいたサブローを残して、
机のティッシュに三度目のお世話になりながら、椅子に腰かけた。
「サブローに手を出してしまうとは…。」
「違うんです、大地さん、それは…。」
「何であろうと、手を出したことには間違いないよ。」
どっちが先に仕掛けたとか、そんなことは問題じゃない。
俺は寝ボケているときは記憶が飛んでしまうからとか、
泥酔してたからとか、精神的に落ち切っていたからとか、
そんなのは言い訳にすぎなくて、事実にはかわりがない。
「ごめん。。。」
頭がハッキリしてくればしてくるほど、涙が出た。
「大地さん、寝ましょう。まだ5時ですし。」
「とても眠れそうにない…。」
そんなことを言いながらも、その言葉の先から記憶がない。
やっぱり、眠気には勝てなかったみたいだ。
翌朝、二人で目覚めた後も、お互い、夜のことに関しては何も触れなかった。
過ちを犯させてしまった、その想いだけが残ったまま。
しかし、この事件から、俺とサブローの関係は、急激に変化を遂げることになる。
【続く】







